南イタリアシリーズ第2弾
「ナポリで歌ってソレントで食べて」
  -3.オ・ソレ・ミオ 1-

文・写真/河野朝子

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ナポリのピッツェリア。

 



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ソレントのピッツェリアの窯。

本人だって誰もが知ってる『オ・ソレ・ミオ』はナポリ発祥の曲である。「私の太陽よ!」という意味のこの曲を聴くと私は無性にトマトソースの食事がしたくなる。映像でサブリミナルができることは証明されているが、実は音楽でもできるんじゃないの?とさえ思う。

 トマトソースといえばまず思い出すのがスパゲッティとピッツァである。よく昔の喫茶店にあった"ナポリタン"というスパゲッティはナポリには存在しない。"ナポリタン"という言い方自体英語だし、ケチャップ使ったアメリカ料理だと考えれば合点が早いか。
 同じくイタリア料理だと思っていたら実はアメリカ料理だったのが"ピザ"である。日本のファスト・フードや宅配のそれは"ピッツァ"ではなく"ピザ"なのだ。だから悪いとかまずいとか言うことはあんまりないのだけれど、やはり現地の"ピッツァ"は格別だった。
 北イタリアにもシチリアにもピッツァはある。おのぼりさんにとっては、それはそれで充分おいしゅうございます、なのだが、ナポリ、ソレントのピッツァを本物と仮定すると北イタリアのもシチリアのも実は違うんだ、てな意見のひとつも出ようというものだ。
 まず"ピッツァ"はあらかじめ切り分けてあったりしないので自分で適当なサイズに切らなければならないのだが、ナポリ、ソレントのピッツァはナイフを入れたときの感触が全然違って驚いた。ナイフで切り分けるために、丸いでっかい生地と格闘しなければならないピッツァにイタリアあちこちで出会った。だけれど、ナポリ、ソレントのピッツァはすかっと柔らかく切れる。過剰にパリパリしていない、ほのかな「サクッ」である。基本的に小麦粉をこねて伸ばした生地の味を生かしながらいかにトッピングするかが勝負の食べ物なのだということを知る。
 それから違うのがチーズである。米国経由のピザには何がなんでもチーズが乗っているが、ピッツァには"素ピッツァ"とでも言うべきトマトソースのみの物からあり、全部にチーズが乗っているとは限らない。
 で、ピッツァのチーズ(イタリアだから"フォルマッジオ")といえばモッツァレラ。モッツァレラはカンパーニャ州、要するにナポリやソレントがある州の特産品である。日本にもビニール袋入りの直輸入物が入ってくるようになっては来ているが、現地で新鮮な物を食べてしまったら、もう後には戻れない。そのへんのドライヴ・インのパニーニに挟まっているモッツァレラでさえ、歯触り、舌触り、牛乳の味の浸み出し方、全然違ったのである(水牛のモッツァレラは現地でも稀少)。
 それにしてもこんな原稿、空腹時に書くものではない。


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